amazarashi 歌詞考察・解釈

【夕立旅立ち/amazarashi】歌詞の意味を解釈!【故郷からの無償の愛】

amazarashi『夕立旅立ち』について歌詞の意味を
筆者なりに解釈してきます。

楽曲について

「夕立旅立ち」は2020年にリリースされた
アルバム【ボイコット】の収録曲。

2018年のamazarashi 弾き語りライブ『理論武装解除』で
アコースティックVerとして初公開された以来、初の音源化。


タイトルからも彷彿とさせる「未来への旅立ち
その中に内包された後悔や別れ、過去の自分との別離が描写されており
情溢れるメロディーが私たちの過去を映し出します。

筆者
筆者

弾り語りもバンドサウンドもどちらも素晴らしい。

amazarashiの中でも入りやすいメロディーと歌詞なので人気も出そうな楽曲の一つだなと。

楽曲名「夕立旅立ち」について

夕立」とは夏の午後から夕暮れにかけての
激しいにわか雨を伴う天気のことを指します。

天気というのはそれ一つで人間の情を移り変えるもの。

この楽曲ならば旅立ちが【夕立の真っ最中】なのか、
【夕立が引いた澄み切った夜】なのかによっても
楽曲自体の雰囲気が変わってくると思います。

アルバムの収録順では、3曲目に『夕立旅立ち』
4曲目に『帰ってこいよ』と並んでいることからも
この楽曲の自分の過ごした故郷から旅立っていく情景が浮かび上がります。

ただそれだけではなく、
故郷からの旅立ちと共に過去の自分からの巣立ちも
表現されている楽曲だと感じました。

それでは歌詞を追っていきましょう。

歌詞

良いことなんか 無かった街でも
別れる時には 寂しくなるんだな
出がけに見送る 沈丁花
友達よ またな 恋人よ さらば

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
泣いたり へこんだり その度生き返り
新しいあんたに 再び陽は差し

過ぎ去る家々を数えて
その数の人生 その数の別れ
僕はまた一つ賢くなる
あん時ああすれば それも過ぎ行く風景

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
あん時確かに 泣かないと誓い
始まりの汽笛 別離の響き

都会の忙しない暮らしにも
強か風は吹く 田舎の風が吹く
あんたの顔も忘れちまった
そういう事にして 忘れた事にして

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
儚い見間違い 都会に影法師
遠遠しいあの街 仰ぎ見 幾年

作詞:秋田ひろむ

 

歌詞を解釈

1番

良いことなんか 無かった街でも
別れる時には 寂しくなるんだな
出がけに見送る 沈丁花
友達よ またな 恋人よ さらば

主人公は今まさに故郷から別離して巣立っていこうとしている。

故郷で過ごした幾年を振り返って真っ先に出た答えは
「良いことなんかなかった街」だった。

ここから
・主人公の過去の失敗・後悔
・早く故郷から出て新しい生活を送りたいという焦燥感
などが映し出されていることが分かります。

そんな故郷に対してマイナスな感情を持っている主人公ですが、
いざ別れを目前にすると「悲しさ」が襲ってくるのです。

これはあらゆる「別離」のシチュエーションで共感できると思います。
「卒業」や「退社」、「恋人との別れ」「友人との別れ」
何かが自分から無くなるその喪失感はやはり悲しんでしまう。
そんな人間の素直さも現れているフレーズ。

歌詞に登場する「沈丁花」にはまた深い花言葉があります。
花言葉は「栄光」「不死」「不滅」「歓楽」「永遠」

主人公が旅立つ際に目に入った沈丁花。
それはこれから新しい世界で生きていく主人公に対する
故郷からのメッセージ。

・故郷はいつまでもここにある(=不死・不滅・永遠)
・どうか楽しんで生きてくれ(=歓楽)
・主人公の未来を願っている(=栄光)

永遠なんてものは存在しない故に
永遠という言葉は儚げで重みがあります。

更に、歌詞の「友達よまたな、恋人よさらば」には
人間のリアルな感情が映し出されています。

仲睦まじいままの友達とは"またな"と再会を約束し、
何かがきっかけで破局することになった恋人とは"さらば"と
別れを言い表しています。

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
泣いたり へこんだり その度生き返り
新しいあんたに 再び陽は差し

楽曲全体を包み込む「優しさ」「明るさ」が感じられるサビの一節。

体は故郷から離れようとも、
懐かしいあの日の思い出はまだ心に残ったままだと言っているのです。

主人公を送り出した故郷の表情が思い浮かびます。

「新しいあんたに再び陽は差し」という歌詞の表現が巧みです。

新しい生活を送る主人公に対して
「大丈夫だ。大丈夫だよ。」と全面的な肯定をする。

「再び」という表現からは、
過去の主人公に成功体験や良いことがあったことが表現されており、
「良いことなんかなかった」と吐き捨てていた主人公も、
故郷から愛されていたことが十二分に伝わってくるフレーズ。

筆者
筆者

韻を踏んだ歌詞が乗ったメロディーの進行も
聴いていて心地よいですね。

2番

過ぎ去る家々を数えて
その数の人生 その数の別れ
僕はまた一つ賢くなる
あん時ああすれば それも過ぎ行く風景

ここは主人公の視点に切り替わり、
別離を全身で感じている様子が映し出されています。

過ぎ去る家の一つ一つに自分と同じような別離があるのだ。
こんなに悲しい別れが屋根の下一つ一つに存在する。
だからこそ悲しいのは自分だけではないのだ。
別れを痛感しているのは自分だけではないのだ。

そんな必死に自分に言い聞かせている主人公の心情が感じ取れます。

車窓を横目に脳内に渦巻くのは「後悔
「あの時もっとこうしていれば」と何度も何度も思い返す。

しかし「後悔」無くして何かを得ることは出来ないのです。
主人公の脆く不安でいっぱいの心情がこちらまで伝わってきます。

一つ後悔するごとに故郷との距離はどんどん離れていく。
もう戻りたいとは思っても戻れない。
故郷を背中に、新しい世界へ進んでいくのです。

 

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
あん時確かに 泣かないと誓い
始まりの汽笛 別離の響き

別離を前に今にも泣きだしそうな主人公。
不安や後悔、恐怖が一気に波となって押し寄せてきます。

始まりの汽笛とは新しい世界へ向かう移動手段を指しています。
汽車を想像すればこの歌詞がリアルに描写できると思います。

汽車の汽笛で主人公は本当に別れなのだと改めて知覚するのです。

一人で乗り込んで出発した瞬間の無力さ・虚無感
何物にも形容し難い。悲しさの更に奥。そんな感情。

3番

都会の忙しない暮らしにも
強か風は吹く 田舎の風が吹く
あんたの顔も忘れちまった
そういう事にして 忘れた事にして

情景は主人公が都会に移り住んで生活になれた数年後のある日。

強い風の吹く日に、ふと田舎の匂いがして、故郷のことを想うのです。

そういえばあの別れの日のように故郷を強く想うことも無くなった。
それは主人公が都会に適応して上手く生活出来ている証拠でもあります。

ただしかし、ふと故郷を思い出した今日、主人公はこう思うのです。

「自分が故郷のことを考えていなかった間にも、
故郷は自分のことを常に想い続けていてくれたに違いない」と。

だからこそ、歌詞にあるように
「あんた(=主人公)の顔も忘れちまった」と
ふいに故郷に戻ろうとも誰も気づいてくれない程に、自分のことなんて
忘れてほしいと、「感謝故の申し訳なさ」に駆り立てられるのです。

それほどに見返りの無い愛をくれる故郷。

私たちも思い返せばずっと故郷から愛されているのかもしれません。

 

夕立旅立ち 行く先に光
懐かしい夢達 未だに覚めないし
儚い見間違い 都会に影法師
遠遠しいあの街 仰ぎ見 幾年

そんな故郷を思い返し、
今ここで自分が生きていることは故郷があったからだと思うのです。

楽曲を通して別離を体験した若者の
脆く弱かった心から強い心へと変化していく様子が描かれています。

最期には「遠遠しいあの街 仰ぎ見 幾年」と
晴れた気持ちで故郷を思い出す主人公の姿が浮かび上がります。

いくら時が流れようとも、心にはあの時の思い出たちが残っている。

あの日の夕立の旅立ちからこの快晴へと変わったのです。


終わりに

いかがでしたでしょうか。

故郷から出た経験のある人は共感が止まない楽曲だったと思います。

筆者
筆者

私も故郷から出てきて生活しているので
心が締め付けられるように歌詞が沁みました。

続く「帰ってこいよ」も同時に聴くことで更に
故郷への想いが高ぶること間違いなしだと思います。

秋田ひろむさんの歌詞は難解なモノや洒脱な歌詞も多いですが、
一つ一つの情景がリアルに浮かび上がってきます。

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