キタニタツヤの楽曲『悪夢』
不気味かつ無機質な雰囲気に包まれている魅力的な楽曲です。
今回はこちらについて歌詞を解釈していきたいと思います!
楽曲について
2020年8/26日に発売されるアルバム【DEMAGOG】の収録曲。
【ハイドアンドシーク】同様に、各配信先とYouTubeにて先行公開されました。
白と黒の世界で描かれた無機質なMVにも是非注目してみて下さい。
前作【ハイドアンドシーク】は現在、キタニタツヤの話題作です。
YouTubeの公式MVと先日出演した「THE FIRST TAKE」はどちらも120万回再生越え。
様々なメディアにも出演しており、確実に人気を博しています。
そんな期待の楽曲が詰め込まれた新作【DEMAGOG】
是非チェックしてみてください!
歌詞を解釈!
ここからは悪夢/キタニタツヤについて歌詞を解釈していきます。
※以下の解釈はあくまでも筆者一個人の解釈であることをご了承ください。
楽曲名【悪夢】に込められた意味とは?
公式では悪夢-BAD DREAMと表記されています。
悪夢の英語は大きく分けて【Bad dream】と【Nightmare】の2種類。
- 【Bad dream】:その夢のせいで目を覚ますことは無い。短期的かつ広範囲な心理的不安をもたらす
- 【Nightmare】:その夢のせいで目を覚ましてしまう。長期的かつうなされるように生存が脅かされる
そこで更に【悪夢】の定義を見ていきましょう。
悪夢とは悪い夢のことであり、この世の物とは思えない程の悲惨な光景を比喩する際にも使われることがあります。
精神的なショックや心理的なトラウマが引き金になって起きる場合が多い。
上記を加味すると、楽曲名になっている悪夢とは
ポイント
自身に飽和した負のエネルギーへの行き詰まり
といったところでしょうか。
Twitterに公開されていた写真の正体
2020.08.19 0:00(JPN) pic.twitter.com/mZkega4fQS
— キタニタツヤstaff (@TatsuyaKitani2) August 18, 2020
当楽曲『悪夢』が公開される前に、公式Twitterで上記の写真が投稿されました。
これはホハニ文字と言われるものであり、本アルバム【DEMAGOG】のキーとなっているそう。
本人曰く、CDジャケットの中身を解読する際にも重要になっているようです。
アルバム予約特典に「ホハニ文字音読表」がついている店舗もあるので要チェックですね。
そんなわけでこちらの写真が何を意味しているのか..
安直ですが、写真を反転してみた結果がこちらです。
恐らく【やまないあめ あけないよる おわらないあくむのなかでいきよ】
ポイント
【止まない雨 明けない夜 終わらない悪夢の中で生きよ】
と書かれていると思われます。
写真自体も『悪夢』のMVを連想させますし、書かれている言葉も悪夢らしきもの。
これを踏まえて解釈していきたいと思います!
【1番】
現実か夢かわからないままの歪んだ視界
四つ這いで呻く
濡れたコンクリート
時間の感覚が無い悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
『悪夢』を解釈していくにあたって無視できないのはMV。
登場人物は4人【キタニタツヤ】【黒い服を纏ったキタニタツヤ】【黒の防護服】【白い服を纏った超越的な存在】
簡単にそれぞれが表しているものを解釈すると以下のようになります。(あくまでも個人の主観)
- 【キタニタツヤ】:普通とされている状況
- 【黒い服を纏ったキタニタツヤ】:悪夢に飲み込まれてしまった状況
- 【黒の防護服】:悪夢への抵抗
- 【白い服を纏った超越的な存在】:悪夢の正体
歌詞中では、今まさに悪夢の真っ只中にいる状況が綴られています。
足を使って歩くことが出来ず、這いずってうめいている姿。
そんな背景に不気味に佇む【白い服】が映し出されています。
ここでは時間の感覚の喪失が謳われていますが、
私たちが現実世界で知覚しているものが悪夢の中では失われてしまっているのでしょう。
『濡れたコンクリート』という表現にも注目していきます。
濡れているのは「涙」や「血」なのではないでしょうか。
見苦しくも嘔吐いて
腑溢れ出した
なぁ、ここはどこで俺は何をしてる?
萎びた草として時が経つのを待った
無意味に晴れる空
まだ俺は動けないんだ悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
MVでは0:52秒頃と3:30秒頃に、不可思議な階段が描写されています。
これは、ペンローズの階段と言われておりペンローズの三角形の派生形の一つ。
90度ずつ折れ曲がった階段は、永遠に上がり続けても高い所へ行くことが出来ません。
言い換えれば、ずっと同じ場所をグルグルと回っていることになるのです。
それが表すのは、
ポイント
恒久的な絶望
悪夢から抜け出すことが出来ず、永遠に檻の中に閉じ込められているのです。
『萎びた草として時が経つのを待った』というフレーズ。
始めは抜け出そうと抵抗を試みていたが、全て意味をなさなかったのでしょう。
自分の思考とは相反して思うように動いてくれない身体。
抜け殻のようにただ悪夢の中に飲み込まれていくのです。
「止まない雨など無い」?
まだ終わらない悪夢を見てんだよ
ご覧の通り、救いが無い
背にアスファルト この様は何だ?
あーあ悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
ここで冒頭で紹介した写真と関連した歌詞が登場します。
もう一度振り返ると、【止まない雨 明けない夜 終わらない悪夢の中で生きよ】と書かれていました。
ここでは、『止まない雨などない?』と絶望が終わることなどある訳ないと唱えているのです。
不安やストレスが募り果てて、完全に諦念感に飲み込まれてしまった姿。
ポイント
【ハイドアンドシーク】では必死に逃げ惑う様子が描かれていましたが、本楽曲はその成れの果てとも言えるでしょう。
倒れ込んだ様子を『背にアスファルト』と比喩している歌詞もキタニさんらしいですね。
自分でも理解できないほどの強い負のエネルギー。
そこにあるのは足掻き続けることでも何かに縋ることでもなく「あーあ」。
楽曲に蔓延している手詰まりな状態を是非体感してください。
【2番】悪夢は終わらない
畜生も食わない末枯れの生が腐れていく
燦々と注ぐ太陽の光さえも
得てして平等じゃない悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
【畜生】とは「ケダモノ」「人の価値に値しないもの」を指して使われる言葉です。
それらが興味を持たない程に低俗でただ息をしているだけの自分を表しているのでしょう。
「太陽神」という言葉もあるように、太陽は崇められて信仰の対象とされる存在でもあるのです。
先程の1番にも『無意味に晴れる空』というフレーズがあったことも思い返してみて下さい。
ポイント
神様は不平等であり、天井から見ているだけで何も救いの手を差し伸べてくれはしないのです。
ここでは【黒い服を纏ったキタニタツヤ】が多く描写されています。
まさに行き詰って悪夢に飲まれている様子がひしひしと伝わってきますね..。
燃える火に包まって
焼ける肺に喘いで
この苦しみから未だ逃れられず
雨降りに凍えて
自分すらも憎んで
無意味で無秩序な悲劇を生きろと強いられてる悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
ここで綴られている絶望は、私たちの様々なことに置き換えることが出来るのではないでしょうか。
過去の戦争や原爆、現代社会の荒波、自分自身のトラウマ、新型コロナウィルスの蔓延る現状など。
それがなんであろうとも、心を蝕み続けて、いつしか自分を愛せなくなってしまうのです。
ポイント
生きている現状こそが【悪夢】であるのではないでしょうか。
だからこそ『死』を選ぶまで解放されることは無いし、抜け出せることも無いのです。
「明けない夜など無い」?
ならこの俺を今すぐにでも照らしておくれよ悪夢/作詞作曲:キタニタツヤ
先程の『止まない雨』に続いて、最後に綴られていたのは『明けない夜など無い?』
冒頭の画像の内容にピッタリと合致していますね。
そんな言葉が存在するならば、この悪夢はとっくに醒めているといっているのです。
そして注目して欲しいのが、MVの3:09~のシーン。
最後の左から黒い防護服、右から白い服がキタニタツヤに近づいています。
そして、明らかに白い服が先にキタニタツヤに辿り着いている。
これは、これから先も悪夢が終わらないことを示唆しているのだと解釈出来ます..。
ポイント
【悪夢】は永遠に終わることを知らない
終わりに
いかがでしたでしょうか。
キタニタツヤの楽曲『悪夢』について歌詞を解釈していきました!
無機質なMVと感情的な歌詞には様々な意味が込められているのでしょう。
この解釈もたかが1個人のもの..。
皆さんも是非自分なりの解釈をして楽しんでみて下さい!