Creepy Nutsの楽曲『かつて天才だった俺たちへ』
自分に眠る無限の可能性に改めて気づかされるようなメッセージ性のある楽曲。
今回は、こちらの楽曲について歌詞を解釈していきます!
楽曲について
2020年8月19日に公開された楽曲『かつて天才だった俺たちへ』
翌週、8月26日にリリースされるアルバム【かつて天才だった俺たちへ】の収録曲です。
そして、帝京平成大学TV-CMソングにもタイアップ楽曲として起用されています。
「I wanna be a 勝者」
楽曲で謳われ続けているのは、どうしたって前を向き続ける姿勢。
自分の悩める現状を鼻で笑い飛ばしてしまえるような、新しい気づきを与えてくれるリリックに注目です!
歌詞を解釈
ここからはCreepy Nutsの楽曲『かつて天才だった俺たちへ』の歌詞を解釈していきます。
※以下の解釈はあくまでも筆者個人の主観の下に書かれている事をご了承ください。
【1番Aメロ】
苦手だとか怖いとか 気付かなければ
俺だってボールと友達になれた
頭が悪いとか 思わなけりゃ
きっとフェルマーの定理すら解けたすれ違ったマサヤに笑われなけりゃ
ずっとコマ付きのチャリを漕いでた
力が弱いとか 鈍臭いとか
知らなきゃ俺が地球を守ってた heyかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
謳われているのは全て【たられば】です。
現状の自分は持ち合わせていない能力を「もし○○だったら」と綴っているのです。
大人になる過程で私たちは「できる or できない」の二元論に全てを当てはめてしまう。
一度「できない」に分類された物事は、錆び付いた鎖のように自由に動けなくなるのです。
前半に謳われていたのは【スポーツ】と【勉強】。
考えてみれば、どちらも学生生活でメインとなる学習ですよね。
R-指定さんも両者ともに苦手だったと述べていました。
集団生活による他者比較によって、いつしか【自分=できない】となってしまったのでしょう。
自分の弱さを発見していけばしていくほど、行動を起こすことに不安を感じてしまいます。
【1番Bメロ】
破り捨てたあの落書きや
似合わないと言われた髪型
うろ覚えの下手くそな歌が
世界を変えたかもかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
無我夢中に自分の生き方をしてきた日々を回顧しているのです。
自分では肯定してあげたいはずだった紙に書いたワード
夢の先に居る憧れを真似ていた髪型
自分で夢を掴み取ろうとして想いを声にして始めた歌
あのままでいられたら、本当に自分を変えられることが出来ていたのかもしれない。
批判も否定もあったけれど、何よりも輝いて生き生きとしていた日々だったのでしょう。
かつて天才だった俺たちへ
神童だったあなたへ
似たような形に整えられて見る影もないかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
日本に蔓延る【他者比較】や【集団生活】の成れの果てにあるのは
【出る杭は打たれる】という言葉通りのディストピア。
それぞれが持っていたはずの個性が統制され、クローンのように同じ生活を送ることを強制される。
「誰かと違っていてはダメ」けれど「周りと一緒では才能が無い」といわれる。
本来は誰もが【何者にもなれる力】を秘めているのだと彼らはいっているのです。
自己肯定感が失われ、物事に挑戦する気力すら湧かない人々ばかりの現状に異を唱えているのでしょう。
実際に『天才』『神童』といわれると、条件反射のように「ありえない」と思ってしまいます。
私たちが変われないのは、きっとそういうことなのです。
【1番サビ】
未だかつてないほど入り組んだway
悩めるだけ悩め 時が来たらかませ 風任せどっちみち茨のway 俺らは大器晩成
時が来たらかませかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
【大器晩成】の意味をおさらいしていきます。
ポイント
本当に秀でる人は、若いころには目立たず徐々に実力をつけていくということ。
現状に悩むことを、何かから逃げ出すことをありのままに受け入れてくれるリリック。
あなたには収まりきらないほどの才能があるのだから、いつか「ぶちかませ」といっているのです。
自分の心情も、現実の道も、迷路のように複雑になっているとしてもあなたは「天才」。
ただ御託を並べるだけでなく、一言置いて去っていくようなリリックに心を打たれます。
I wanna be a 勝者
I wanna be a 強者
まだ見ぬ高みへ駆け込み乗車
花火のような 運命(さだめ)だろうが
我が身果てるまでやりきれそうやかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
これほどまでに高揚を感じられるリリックがあったでしょうか。
過去がどうだろうと、今がどうだろうと、未来がどうだろうと関係ない。
根拠は無くとも「勝てる」し「幸せ」になれる。
これまでに謳い上げてきた憂いの数々を吹き飛ばすかのような歌詞。
ただ闇雲にポジティブを演じているわけではありません。
これまでの苦悩や不安の中で、もう一度自分を愛してみる。
Creepy Nutsのこれまでに公開されてきたネガティブを謳った楽曲たちへの
アンサーソングとも捉えられます。
【2番Aメロ】
生まれてこの方
一体いくつ 分岐点を見過ごしてきたんだろうか
墓場に入るまで
あと一体いくつ 可能性の芽を摘んでしまうんだろうかかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
人生は無数もの選択が重なって出来たものといえます。
【受験】や【就職】、【夢】や【目標】
これらも全て未来への分かれ道かつ無限の可能性を秘めた道だったのです。
これまでに数えきれないほどの失敗と後悔をしてきた。
そしてこれからも、想像がつかないほどの過ちをおかして生きていくだろう。
過去への憤り、未来への不安、そこから生まれるのはひたすらに【無気力】です。
考えれば考えるほど、一歩を踏み出そうとする足が震えていきますよね…。
稀代のうつけ者 天下人
今まだ醜いアヒルの子
ほらどう そうご指導ご鞭撻のほど
渡る世間の洗礼を浴びるとこ俺はキャンパス かなり薄汚れた
だけどワンチャンス まだ余白はあるさ
ちゃっかり目立ったり 劣ったり
この隔たりよ永遠にかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
周りと同じ形に矯正され、自分らしさを失っていく様を皮肉ぶったリリックです。
前半の【うつけ者】とはうっかりしていて常識を持ち合わせていない人を意味します。
そんな何にも染まっていない可能性の塊だった自分が世間の環境によって一色に染められていく。
平にされた面白味の無い日々より、恥ずかしいことも辛いことも混在した凸凹の人生の方が有意義。
余白どころか、一度染まってしまった自分さえももう一度塗り替えしていくといっているのです。
【Cメロ】
お前は未だに広がり続ける銀河
孫の代までずっとフレッシュマン
粗探しが得意なお国柄
シカトでかまそうぜ金輪際かつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
ここまで自分を肯定してくれると、顔がにやけてきてしまいます…笑
心の奥底からじわじわと湧き出てくるプラスのエネルギーを感じてきませんか?
筆者が魅力的に感じたのは【粗探しが得意なお国柄】というリリックです。
気持ちが良いほどに今の日本の現状をアイロニックに表現しています。
人の悪いところ、弱いところばかりを見てくる環境に嫌気がさしているのです。
ですが、「天才」の私たちは「ガン無視」…笑 気持ち良すぎる…!
俺も未だに広がり続ける銀河
今際の際までずっとフレッシュマン
くたばり損ねた 冥土からCome back
草葉の陰からゴンフィンガーかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
またもや魅力的なのは、私たちを肯定しているだけではなく自分自身も肯定している点です。
「お前」と「俺」でお互いに幸せになっていこうというR-指定さんの心意気が伝わってきます。
ゴンフィンガーとは【ガンフィンガー】のことを指していると解釈出来ます。
銃を模したハンドサインのことであり、何度だって這い上がってくる根性を感じられます。
無傷のまんまじゃいられない
変わり続けていく多面体
その物差しじゃ測れない 測らせる気もないかつて天才だった俺たちへ/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
誰かの物差しで測られるような人生になってはいけない。
そして、誰かの物差しで測って生きるようなあなたになってはいけないといっているのです。
私たちはずっと変化し続けていく【可能性】を秘めている。
傷つくことも何かに負けることも、れっきとした一つの変化には変わりないのです。
自分を信じて【あなたらしく】生きていく。
かつて天才だったあなたは、今からでもあの日の可能性を取り戻せるといっているのです。
心の奥から無限にモチベーションが湧いて出てくるようなメッセージ性のある楽曲。
この曲が傍にあれば、どんなことだって乗り越えられるような気がしてきます…!
終わりに
いかがでしたでしょうか。
Creepy Nutsの楽曲『かつて天才だった俺たちへ』について歌詞を解釈していきました!
聴いた瞬間、鳥肌が立って涙が零れてきました…。
素晴らしい楽曲をありがとうございました。