MY FIRST STORYの楽曲『アンダーグラウンド』。
アルバム【V】の収録曲。
硬派なサウンドとエモを追求しながらもポップな仕上がりになっています。
楽曲について
改めて楽曲を紹介していきます。
2020年8月12日にリリースされた6thアルバム【V】の収録曲である『アンダーグラウンド』。
「愛されたい」というサビのフレーズを感情的に謳い上げている部分が魅力的です。
2021年に東京ドーム公演を行うことを1つの目標にしてきたマイファス。
新型コロナウィルスの影響で、ライブが出来ない状況下で放たれたNewアルバム。
確実に実力と知名度をレベルアップさせるために出してきた勝負アルバムといえます。
全曲を聴いた個人的な感想は、「バランスの取れた楽曲が勢ぞろいしている」印象です。
マイファスらしい硬質かつヘヴィな音を残しながらも、
上に乗せられたメロディーは誰の耳にも聴きなじみやすいであろうポップさに包まれています。
インタビューでも、最近の流行りの音楽(YOASOBI,ヨルシカなど)を
参考にしたと述べられていました。
そして何よりも、これまでは自分に飲み込まれて叫んでいたHiroが
どこか大人びて、優しく強く歌を謳っている様子が奥ゆかしくてなりません。
少し喋り過ぎてしまいました…笑
早速、『アンダーグラウンド』の歌詞を見ていきたいと思います!
歌詞を解釈!
ここからは楽曲の歌詞をなぞって歌詞解釈を行っていきます。
※あくまでも個人の主観から想起した解釈だという事を理解した上でお読み頂けると幸いです。
タイトル『アンダーグラウンド』とは?
アンダーグラウンドには以下のような意味合いがあります。
ポイント
- 地下
- 大衆的ではない前衛的な文化
- 周りに流されることなく、自分らしく進んでいくこと
今回の楽曲からは、どの意味も包括的に加味されていると解釈します。
これらの意味合いを頭の片隅に置きながら、歌詞をなぞっていきましょう!
【1番】「違和感」に塗れた世界で
宣戦布告のシグナル
必要不可欠なニュース
絶対社会的ルール
ああじゃない こうじゃない 何方にしろ興味ない『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
冒頭から落ち着かない雰囲気が漂っています。
この世界の全ての事象が自分にとって気に入らない様子。
目に映るものを睨み付けては、悲観的になる不気味な主人公なのです。
真っ暗な地下を、トボトボと歩いてくる姿が見えてきます。
そして以下では2つのキーワードを見ていきます。
ポイント
「必要不可欠なニュース」
画面に映る、大衆を惹きつける為だけに作られたハリボテのアイロニカルな比喩
「絶対社会的ルール」
誰も彼もが見えない鎖に首を繋がれて、自分を殺しながら生きている状況の比喩
そんな「違和感」を感じずにはいられないこの世界に宣戦しているのです。
「ずっと嘘吐いてばっかだ」とか
「どっか頭オカシイんじゃない」とか
全部 同じ顔で聞いてるけど
そうじゃない
そうじゃない『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
「違和感」に包まれた日々が「当たり前」になってしまうのです。
目の前で広げられている論争なんて、
これっぽっちも正義を持ち合わせていない虚言に過ぎない。
それに気付いているのに、口ばかりで何も変えられやしない自分もいる。

言いたい事 言いたい放題 ただの自分至上主義なだけ
そんな言葉 届かないぜ? 支配させない
「人生は勝ち負けじゃない」と 思う事は一度もないよ
優しい嘘は やめて 金輪際
ねぇ?『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
先ほどから一貫して、「違和感」に塗れた世界に苦言を呈しています。
匿名の言葉を模したナイフが、今日も誰かの首筋を捕えようとしている。
その中で見えてくるのは、強く勇ましい主人公の姿。
しかしながら、その中身は今に崩れそうなほど脆弱。
それについてはサビになるにつれて明らかになっていくでしょう。
「人生は勝ち負け」だという主人公から伝わってくるのはHiroの想いそのもの。
いつだって誰かと比較され、環境から負けを強いられてきたのです。
だからこそ、優しい言葉も彼の前では何の意味も持たないといっている。
【1番サビ】結局、誰もが「自分至上主義」
小さな夢を 思い出してた
「もう...嫌」
願い事は 一つだけ
「愛されたい」
愛されない僕は 自分の心を殺しながら
何か 求めてた 本当は『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
個人的にですが、Hiroが謳う「愛」はどのアーティストよりも力があると思うのです。
ここまで気味が悪く、利己に塗れた世界でも、求めているのは「他者からの愛」。
それは、Hiroだけではなく、人間が抱いている共通認識なのではないでしょうか。
だとすれば、目に映る「違和感」の正体は、愛さなかった欲求不満の成れの果て。
皆が気づいているのに、気づいていないふりをし続けているディストピア。
「誰かに気付かれたい」という思考も、また利己的なのでしょうね…。
「愛されたい」
愛されてる君は 他人の心を奪いながら
誰か 探してた 本当は
「こんな世界には居たくない」と立ち去った アンダーグラウンド『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
「愛されてる君」は、他の誰でも無く主人公自身を指しているのではないでしょうか。
上記では、皆が「愛」を探していると述べましたが、既に答えは出ているのでしょう。
人々は、自分に向けられている愛を認識しようとしていないのです。
「満たされている自分」だと感じてしまうことに恐怖感を覚えている。
地下のように暗い世界で、満たされない自分に縋り続ける主人公。
物事を悲観視して、自己憐憫に浸る日々に、心の中では快感を覚えている。
歌詞をなぞれば、誰しもが「自分至上主義」に塗りつぶされた存在なのです。
そして、また自分自身の深い闇の世界に落ちていくのでしょう。
【2番】あなたの心の中も
最悪の無限ループ
完全不条理なゲーム
お前一体何様だ?小賢しいな
みんな生き残りたいから いつだって 一人で抱え込むだけ
最後一発 決めて 大逆転
ねぇ?『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
「無限ループ」と形容されているのは、定まらない自分の思考回路。
自分に正直になることが出来ず、常にないものねだりを繰り返していくのです。
先ほども述べたように、本当の答えは自分の中に眠っている。
上記の「自己憐憫」にも重なりますが、自分の状況を「不条理」と思い込む。
誰よりも辛い思いをして、生きることに真面目な自分を演じているのです。
そして、いつかは誰もを追い越して笑って終われる日を待ち侘びている主人公。
何処までもリアルでどす黒い人間の心情が映し出されています。
【2番サビ】弱さと強さ
この命を懸けるのは 諦めたよ
幸せなんて泥だらけ
「物足りない」
満たされたい僕は 他人の不幸と比べながら
次を 望んでた 何回も『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
心理学では「マズローの欲求段階説」があります。
一言で表せば、人間は「ないものねだり」を繰り返す生き物だということ。
自分の安全が満たされれば、次は社会的な欲求を求めるようになります。
そして、承認欲求、自己実現の欲求へと途絶えることなく変化していきます。
現状の私たちは、承認欲求~自己実現の欲求の辺りにおける葛藤が多いはず。
いつだって自分の現状に満足することが出来ず、常に不足感が憑りついているのです。
それは集団生活、他者比較を強いられてきた過去の環境も強く影響しているのでしょう。
「できる・できない」という二元論に塗れた浅はかな思考回路。

「物足りない」
満たされてる君は 自分の都合で動きながら
今に 囚われた 何回も
「こんな世界しか知らないの」と迷い込む ワンダーランド「愛されたい」
一人きりの夜に 想いが 溢れ出しそうな時は
明日を 夢見てた 何度でも
悲しみに 落とされた 世界の果てまで 手を伸ばし続けても
僕の 思い出は 消えないけど『アンダーグラウンド』/作詞:Hiro 作曲:Nob
自分が不利な状況に陥ると、「自己憐憫に塗れた世界」に入り浸る。
そうして、「愛されたい」「物足りない」とSOSを出し続けるのです。
さて、ここまでの解釈では、不都合なことばかりを利己的に回避して、
弱さに縋っている状況を映し出してきました。
しかし、最後に述べられているフレーズには感傷的になれずにはいられません。
いくら自分に正直になれずとも、「愛」を求めている姿は嘘偽りないのです。
アンダーグラウンドな世界に佇みながらも、頭を上げている主人公。
ありのままに進み続ける、明日へ向かう意思と覚悟。
その弱さと強さが混在したリアルな想いが、
アルバムのテーマの輪郭をを象るように綴られていました。
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まとめ
「愛されたい」、そう想っている心情を紐解いてみれば、
正直になれない自分と求めすぎてしまう自分に塗れた複雑過ぎる情景。
カッコいい曲で終わらず、痛ましいほどに心を突き動かされるリリックが綴られていました。
誰しもがアンダーグラウンドな世界で悲鳴を上げているのでしょう。
淡々と述べてきましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
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